大腸検査

大腸検査

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大腸がん検査について

大腸内視鏡の受け方

大腸3D-CT検査(CTコロノグラフィー:CTC)

大腸3D-CT検査(CTコロノグラフィー:CTC)とは

内視鏡を挿入せずにCT撮影を行うことで大腸を精密検査する新しい検査方法です。下剤の服用量は内視鏡検査にくらべ半分以下の量で、検査の所要時間は約15分です。大腸がん検診の一次検査としても、便潜血検査陽性受診者の2次精密検査としても行うことができます。大腸CT解析が可能な専用ワークステーションを使用することで、内視鏡検査を行った様な大腸の画像を作成し観察・診断する検査です。
当院で導入している128列CT装置(SIEMENS社製)と、ワークステーションの性能が向上した事で実施できる様になった検査です。

本装置では、患者さんの負担も軽く極めて短時間で検査が終了します。同時に複数の輪切り像が高速で得られ、精細な大腸の立体画像(CTコロノグラフィー)が抽出出来ます。

大腸3D-CTの検査の流れ

前処置として、大腸の便(残渣)を少なくする検査食を、検査前日に食べて頂き、検査前日の朝と夕方に造影剤の入った下剤を420mlずつ2回服用してもらいます。寝る前に10mlのピコスルファートナトリウム内容液を服用してもらい前処置は終了です。内視鏡検査と違い、検査当日は下剤の服用は不要です。実際の検査は、肛門から太さ6ミリ程度の柔らかいカテーテルを約5センチ挿入し、大腸CT専用の炭酸ガス注入装置を使用する事で、安全にゆっくりと炭酸ガスを注入し、大腸を拡張させてCT撮影するだけです。
炭酸ガスは腸管から速やかに吸収(空気の130倍の吸収スピード)されますので、検査後の腹痛や膨満感はほとんどありません。検査時間は15分程度です。大腸内視鏡検査に抵抗がある方や、腹部術後の癒着などで内視鏡検査の実施が困難な方には最適な検査です。

大腸内視鏡検査との比較

大腸3D-CTの長所: 腸管癒着のある患者など内視鏡挿入困難な患者さんでも苦痛が少なく検査でき低侵襲であること。
内視鏡検査に不安を感じる方への内視鏡を用いずに行える精密検査法であること。
前処置のための下剤の量が大腸内視鏡検査の半分以下で服用しやすいこと。 
病変の位置が正確にわかること。
ヒダ裏の大腸内視鏡で死角に存在する病変も発見できること。
腸管外の病変が単純CTレベルでわかること。
大腸3D-CTの短所: 大腸粘膜の色調観察ができないこと。
組織生検やポリープ切除ができないこと。
5㎜未満の病変の検出能が悪いこと。
医療被曝があるため妊娠の可能性がある方や妊娠中の方は検査できないこと。

*大腸3D-CTでポリープのような病変が指摘された場合は、後日、大腸内視鏡検査による精査加療が必要になりうることをご承知おきください。

<大腸3D-CT検査にて発見された早期大腸がん2例>

<大腸3D-CTにて確認された前がん状態の側方進展型腫瘍>

腹痛など自覚症状なく、検診便潜血検査陽性所見が発見のきっかけとなった早期大腸がんの2例です(大腸3D-CTで腫瘍が確認されています。:図1~4)。このような早期発見であれば内視鏡治療のみで治癒切除できます。また、前がん状態の側方進展型高度異型腺腫も早期発見し、大腸内視鏡を用いた粘膜下層剥離術で開腹手術を行わずに治癒切除できます(図5~7)。早期がんや前がん病変は自覚症状がありませんので定期検査が重要です。早期発見のために大腸内視鏡検査に不安感がある方でも、炭酸ガスを送りCT撮影するのみの仮想内視鏡検査(大腸3D-CT)であれば受け入れやすいのではないでしょうか。

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)

ESDとは

早期食道がん、胃がん、大腸がんに対する内視鏡治療は以前から広く行われてきました。しかし、スネアー(輪状のワイヤー)を引っ掛けて切除するため、1~2cmまでの小さな病変までしか一括で切除することはできませんでした。
これよりも大きな病変は、外科で開腹手術を行うのが一般的で、内視鏡で切除してもバラバラの断片としてしか切除できず、取り残しや再発を起こしたり、病理組織検査(顕微鏡による細胞の検査)が不十分なものとなり、治癒の判定が不確実になっていました。
しかし、専用の処置具(内視鏡用の電気メス)が開発され、粘膜をはがしていく(剥離する)方法で、より大きな病変も一括で切除することが可能となり、取り残しや再発が少なくなりました。
この方法が、ESDです。

ESDで治療可能な消化管がん

消化管の粘膜(壁)は、胃・大腸では、図1のように4層構造で、食道は漿膜(しょうまく)がないため3層構造となっています。
がんは、粘膜層(1層目)の表面に発生し、だんだんと粘膜下層(2層目)、筋層(3層目)に浸潤していきます。
★基本的に粘膜層(1層目)にとどまっているがん(下記の条件を満たすもの)であれば、大きさに関わらず転移している可能性がほとんどゼロであるため、いくら大きくてもESDで切除することができます。

★以下の条件を満たすもの

  • 食道がん:粘膜層(1層目)の上部2/3までに存在する場合
  • 胃がん:(1)分化型腺がんで、潰瘍(-)である場合
        (2)分化型腺がんで、潰瘍(+)である場合には、3cm以下
        (3)分化型腺がんで、粘膜下層(2層目)に0.5mm以内の浸潤が見られる場合には3cm以下
  • 大腸がん:粘膜下層(2層目)に1mm以内の浸潤まで

ESDの方法

まず、局注液を粘膜下層(2層目)に注入してから、病変の周囲に切れ目を入れ、粘膜下層(2層目)の深い部分で剥離していきます
よって、粘膜層(1層目)に存在するがんは、粘膜下層(2層目)とともに切除することができます。

ESD写真1

胃体小弯主体に広範囲に広がる直径10cm強の病変、わずかな隆起で、通常観察で病変を特定するのは困難

ESD写真2

色素散布することで、病変は明瞭となる

ESD写真3

剥離後の潰瘍

ESD写真4

切除標本(直径13cm)、粘膜内(1層目にとどまる)高分化型腺がんで、完全切除されていた。

むすびに

ESDで治療できるのは早期のがんだけで、それらはまず症状を起こすことがありません。内視鏡で治療できるがんを見つけるためには、症状が出てからの検査では遅いのです。
40歳をすぎたら、ぜひヘルスパーククリニックの人間ドックによる内視鏡検査をお受けになることをおすすめいたします。

内視鏡装置のご紹介

EVIS LUCERA イーヴィスルセラ(オリンパス社製)
Advancia アドバンシア(フジフィルム社製)

通常の内視鏡光観察に加え、

  • 分光内視鏡画像処理(FICE:フジフィルム)
  • 狭帯域光観察(NBI:オリンパス)

これらの装置を使用して食道、胃、十二指腸、大腸などの内視鏡検査・治療を行い、粘膜表層の毛細血管やわずかな粘膜の肥厚、深部血管の異変の観察・発見を行っています。

上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸)
EG-530N2、外径5.9mm(フジフィルム社製)

高画質なスーパーCCDを搭載したEG-530N2、外径5.9mmの電子スコープです。経鼻・経口ともに、負担の少ない細径タイプのスコープで実施しています。

GIF XP260NS

スコープの外形が5.8mmの経鼻内視鏡検査のスコープです。極細タイプのスコープですが経口での内視鏡も可能です。

下部消化管内視鏡検査(大腸)
CF-Q260AI、PCF-Q260AI(オリンパス社製)

高解像度CCDを搭載され高画質の電子スコープを使用しています。挿入性に優れた細径タイプのスコープであり、スコープ自体のしなやかさを4段階に調整ができる硬度可変機能がついています。ご利用者さまの大腸の状態により調整しながら検査を行うことができます。
なお、これらの電子スコープと分光内視鏡画像処理(FICE)、狭帯域光観察(NBI)を組み合わせて行うことで、より精密に検査・治療を行っております。(分光内視鏡画像処理(色調をデジタル処理した画像)により病変部と正常部分の境界を明瞭にします)

PCF Q260J

主に処置をする際に使用します。φ10.5mmの細径スコープは操作性に優れ、出血部位の視野を確保するウォータージェット機能があります。

GIF H260Z

ハイビジョン対応CCDと光学85倍ズーム機能により、クリアで高精細な拡大観察が可能で、内視鏡的処置や手術、又は早期がんの診断の際に使用します。

GIF Q260J

主に処置をする際に使用します。特徴は胃の粘液や出血部位の視野を確保するウォータージェット機能があります。